ジェヴォーダンの獣? [映画。漫画。]
聖アッバンの聖人伝を訳しているのだが、なかなか進まない。まだ聖人は天然で、しょっちゅう寝てしまうお子ちゃまだ。
で、ワガママこいて伯父(叔父)である司教聖イヴァールにくっついて、ローマまで巡礼する予定なのだが、今はまだブリトンにいる。そしたら、ある時「形と力がライオンのような、誰も知らない獣」がある街を荒らし中。王が軍隊とともに戦うが誰も勝てず、逆に300人も殺されてしまう有様。
最終的に聖アッバン様が「滅びよ」というと死んでしまうかわいそうな結末なのだが、「ライオンのような誰も知らない獣」というのがまるでジェヴォーダンの獣のようで、あるいは映画『ジェヴォーダンの獣』の獣のようで、すっごく気になった。
「ライオンのような」というのは、恐ろしい獣に対する決まり文句なのかな? しかし、現ブリテン島にいたそんな獣とは、なんだろう。熊? でっかい狼? まあ、聖人伝作者がどれくらい「ライオン」というものを知っていたかどうか、という問題もあって。ローマに巡礼したことがあるなら知っていたかもしれないけど。『ケルズの書』の4福音書作者の象徴の一つであるライオンも、「これはライオン」と思ってみないと、「誰も知らない獣」だもんなぁ。
そういえば唐獅子もライオンに見えないし。明治以前の日本人にとって「獅子」といったら、やはり恐ろしい、強い獣の代表だったのか?
ちなみに映画のネイティブ・アメリカ人役の役者はステキであった。